破かれた離婚届

 

●信者さんのおはなし
「破かれた離婚届」

金光教放送センター


 「今朝、こんなメールを主人からもらったんです。『いつもありがとう! 感謝しています』って。もううれしくて! うれしくて! 主人からこんなメールをもらえるなんて…。これも信心しているおかげ。教会の先生のおかげです」と言われるのは、2人の大学生を持つ、奈良県にお住まいの46歳になる石田聡子さんです。

 そんな喜びを語ってくれた聡子さんの信心は、祖母からの信心で、3代目になります。ご主人とは、教会の先生の勧めもあって結婚したのですが、はじめは余り乗り気ではなかったようです。性格は正反対で、どちらかというとタイプではない人だったと言います。それが、聡子さんも20代も半ばにきて「そろそろ結婚かな?」と思っていた時期でもあり、仕事は国家公務員で安定しているし、また教会の先生が勧めて下さる人だから、まぁ良いかなと思って結婚したのです。

 結婚して2、3年経った頃、やはり懸念していたとおり、性格の違いからか会話が成り立たない2人になっていることに気がついたのです。夫の紀夫さんは、話をするにも理路整然と筋道を立てて話します。ところが聡子さんは、話の始めと終わりが合わないと紀夫さんからいつも注意されけんかになります。

 しかも、紀夫さんが仕事から帰宅するのは夜の11時12時となり、それからの食事です。聡子さんも仕事をしており、その準備と片づけだけでも大変です。しかも紀夫さんは土曜も日曜も仕事で、夫婦の会話はまったく無くなってしまったのです。2人の子どもの高校受験のことを相談したくても、「子どものことは君に任せた」というだけで話になりません。ただの同居人となっていたのです。このことが聡子さんには大変苦痛でたまりませんでした。

 子どもは、上が男の子で下が女の子の年子です。その下の女の子が高校に入学したら離婚すると聡子さんは決意しました。そんな中、聡子さんはたびたび教会に参拝しました。参拝して、教会の先生に話を聞いてもらうのです。夫婦の間柄を。先生は1時間、2時間。時には3時間、4時間と聡子さんの話をじっと聞いて下さいました。聞いていただくと、心が少し軽くなるのです。それでも主人との間は以前と変わらないまま日々が続きました。

 仮面夫婦も限界に達した平成18年。娘さんが高校に進学したある日のことです。帰宅した紀夫さんに突如、離婚届の用紙を渡しました。紀夫さんはびっくりした面持ちで、その用紙を破りました。ところが聡子さんは2枚目の用紙を持っていたのです。紀夫さんは、「もう一度やり直したい」と言いました。聡子さんは「もう無理!」と言い、泣き崩れました。

 悶々とした日々が1週間ほど続いたある日のこと。教会でお祈りをしていた聡子さんは、自分の心に「人を責めるばかりで、自分はどうなのか! 主人も大変な職場で頑張っているではないか!」という思いがわいてきたのです。

 それは教会の先生が常々言っていた、「自分が変わらなければ、相手は変わりませんよ」という言葉があってのことでした。聡子さんの心に変化が生まれたのです。

 聡子さんはまず、自分から夫に挨拶をするように努めました。朝の「おはよう」、寝る前の「おやすみ」を明るく言うのです。すると紀夫さんも返事をするようになり、少しずつ会話も生まれました。

 心が変わると、神様がお動き下さるんでしょうか。紀夫さんが夕方5時に仕事が終わる地方の役所に出向することになったのです。もちろん休日も休めるようになりました。二人で食事をしたり、映画を見に行ったりする時間ができるようになります。時間のゆとりが心のゆとりとなって、家族を考える時間が持てるようになり、会話も増えてきました。そして何より、教会に参拝する時間も出来るようになりました。「これはもう、神様が与えてくださった転勤でした」と聡子さんは言います。

 この4月、2年ぶりに多忙を究めた、前の官庁に戻ることになりました。聡子さんは52歳になる紀夫さんに言いました。「大変な職場だけど、あと4年だけ我慢してね。下の娘が大学卒業するまででいいから。定年まで頑張らなくていいから。退職後の生活は何とでもなるから…。私たちには神様が付いて下さってるもん」。

 聡子さんは言います。「このことがあって、人の苦しみがひとごとでなくなりました。教会の先生が何時間も私の話を聞いて下さったように、私も人の悩みを聞いてあげることに努めています。そういう自分がまた嬉しいです。自分の心が変われば相手の心も変わり、それが良い回転となって、次々と良いことが起こってくるんですね。今朝のメールもその一つです」と。

 聡子さんの信心に生きる、自信に満ちた目はまばゆいばかりでした。

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