神様はわかっておられる


●教師インタビュー
「神様はわかっておられる」

金光教放送センター


(ナレ)福岡県に住む鬼塚もゝきおにづかももきさん66歳。金光教の信心をする温かい家庭に育ち、教会の先生の生き方や教えに惹かれて、金光教の教師になりました。その後、新田原しんでんばる教会で奉仕していた正一しょういちさんと結婚して、5人の子どもを授かりました。そんな中、とてもつらく悲しい事が起こります。5番目の道人みちと君が1歳8カ月の時に、信者さんが運転する車に接触して亡くなってしまったのです。それは不慮の事故だったので、もゝきさんに誰かを責める気持ちなどはありませんでしたが、ただただ、深い悲しみに襲われました。そんな時に、もゝきさんは、以前修行をしていた教会の先生が遺した教えに出合います。
 「胸の張り裂けるような悲しみも、身も崩れるばかりの苦しみに遭っても、神様は決して氏子うじこの為にならぬことは何一つなさらん。今自分に与えられている事が、最善最高最大さいぜんさいこうさいだいのおかげと頂けば、今後はおかげになる」

(鬼塚)そのみ教えを読ませてもらった時に、神様は私の悲しみも苦しみも、私以上によく分かってくださっている、というようなことを思いましてね。そのみ教えが私の、本当に心の中に入ってきて。なにかこう、悲しみの波が打ち寄せては引いていく。そのことは変わらない。それはずっと変わらないんですけど。この、子どもの死は無駄なことじゃないんだと。神様は分かっておられる。私の苦しみも分かっておられる。それでちゃんと抱え込んでくださるんだっていうような、そういうような思いがいたしました。

(ナレ)それからのもゝきさんは、道人君とのかけがえのない1年8カ月と、その命のお礼を毎朝神様に申し上げ、道人君には「生まれてきてくれてありがとう」と、語りかけるようになりました。そして、家族のために笑顔を心がけていきました。
 それからほどなくして、もゝきさんは夢を見ました。それは、不妊治療をしても長く子どもを授からなかった親友が、妊娠したことを知らせに来る夢でした。

(鬼塚)友達が私の夢に出てきまして、「妊娠した」と。で、「この子は道人君の生まれ変わり」と、私の友達が夢の中で言うんですよね。で、目が覚めて、その友達に電話をかけますと本当に妊娠しておりました。もうびっくりしましてね。
 そして彼女は42歳で初産で無事、男の子を出産するというおかげを頂きましてね。それが、私、本当にうれしかったですね。

(ナレ)不思議な夢と、以前から願い続けていた親友の妊娠という出来事に、もゝきさんは、自分を慰め励まそうとする神様の温もりを感じました。
 それから数年後、夫の両親には介護が必要となり、さらには、夫の正一さんががんを患いました。多くの事がのしかかってきましたが、もゝきさんは、「今自分に与えられていることが、最善最高最大のおかげと頂けば、今後はおかげになる」というこの教えに支えられ、乗り越えていきました。
 大変なこともありましたが、4人の子どもたちが元気に巣立っていき、結婚や出産と、多くのうれしい出来事もありました。
 また、事故を起こした信者さんは、亡くなった道人君の分もと、一層信心に励み、そのお子さんたちが今、金光教の教師となって人を助ける道に進んでいます。
 もゝきさんは、「人生にはいろんなことが起こってくるけれど、神様が一緒に歩いてくださるからしのいでいける」と言います。そして、その全てが、信心をしていけば意味を持ってくるのだと言うのです。

(鬼塚)このことが次につながるということになっていく。一つ一つがね、人生の上に起こってくることは神様のお差し向け。神様には無駄はないっていう。
 その時は分からなかったけど、だんだんと時間が経ってきていろんなことが、点がずっと線になるっていうかな。そういう感じがしてますね、今ね。

(ナレ)夫の正一さんは、がんになっても、心配したり落ち込んだりする様子もなく、治療をしながら教会での奉仕を続けました。しかし、次第に入退院を繰り返すようになり、令和3年の春、ついに医師から余命二週間と宣告を受けます。
 もゝきさんは、入院していた正一さんを教会に連れて帰りました。正一さんは、子どもや孫に囲まれ、家族に看病されて、優しい時間の中で最期の12日間を過ごしました。

(鬼塚)生きている時に、「もし生まれ変わったらまた僕と結婚したい?」って聞くんですよね。主人は「また私と結婚したい」って言ってました。だから亡くなったあとに、私、もう次生まれ変わった時は、また夫と結婚したいと真剣に思うようになりましたよ。それだけ、私は愛されてたんだなっていうことをね。

(ナレ)正一さんが亡くなったその日は、奇しくも道人君の誕生日でした。
 信心をしていても、つらいことや悲しいことは起こってきます。神様といえども容易に変えることのできない宿命のようなものを、私たちは持って生まれてきたのかもしれません。しかしそれでも、助かってほしいと願っておられる神様の、最大限の配慮、最善の導きがあることを、そしてそのことを信じて励んでいけば、自身だけでなく周りの多くの人の助かりにもつながっていくことを、もゝきさんは実感してきました。

(鬼塚)楽しいんですよね。神様がどんな世界を私に今後は見せてくださるんだろうっていうような思いがあって。だからね、苦になることは本当にないですよ。信者さんがお参りされて、心配をしておったようなね、お願いをさせてもらって、どうなるんだろうかと思っておったものが、「おかげ頂いた」って喜びの声を聞くと、もうそれが生きがい。

(ナレ)「私の苦しみを神様は分かっておられる。そして、ちゃんと抱きかかえてくださるんだ」と気づいたあの時に、もゝきさんの心は救われていました。それから神様と共に歩いてきた26年。もゝきさんの笑顔が出会う人を励ますのです。

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