●先生のおはなし
「神様の計画分娩」

香川県
金光教玉藻教会
森定舞 先生
(ナレ)おはようございます。案内役の大林誠です。私には4人の孫がいるんですが、彼らの顔は、生まれる前から分かっておりました。最近のエコー検査技術はすごいですね。表情もしぐさも、はっきり見える。体重も瞬時に計算されて、それに基づいて食事の指導もされたりする。ありがたい時代になったもんだと思います。
さてこれからお聞きいただくのは、香川県・金光教玉藻教会、森定舞さんによる「神様の計画分娩」というお話です。
今から4年前、大好きだった祖父が亡くなりました。その日、外では雨が降り、それは、神様が祖父の一生を包み込んでくれているような慈しみの涙に見えました。そしてその時、まるで神様が往来するかのようにゴロゴロゴロと雷が鳴り響きました。
当時、私は大きな仕事を任されていて、それが終わって2日後に祖父は亡くなったのです。無事に終わることを祈りながら待っていてくれたのだと思いました。祖父からは、今でも折々に祈られているなあと感じるのです。
祖父の死から2年後、私は祖父の誕生日に結婚式を挙げ、間もなくして妊娠が分かりました。
里帰り先の産院で、予定日直前の妊婦健診に行った際、赤ちゃんの推定体重が大きめで、お医者さんから、「自然な陣痛を待って赤ちゃんがさらに大きくなると、あなたの場合、手術になります。陣痛促進剤を使って計画分娩にしましょう」と言われました。
最初は「赤ちゃんが無事に産まれてきてくれれば、分娩方法は何だっていい」と思っていました。けれど、薬を使って陣痛を促すということがだんだん怖くなり、「できれば自然なお産にしたいなあ」と、お医者さんから言われたことに抗いたくなる気持ちが湧いてきました。
陣痛を促す運動をしてみるなど、躍起になった数日を過ごしました。しかし、ある時ふと、「『計画分娩』と言われて、人工的な感じに抵抗があったけれど、これはおなかの中の赤ちゃんが無事に産まれるための神様の計画なのかも」と思いました。そこからは「その計画がどうぞ成就しますように」と、神様にお願いするようになりました。
こうして、本格的な陣痛がこないまま、入院の日を迎えました。陣痛促進剤が投与され、いよいよ子宮口も全開大近くになった頃、とても痛みに耐えきれなくなりました。私は比較的痛みには強いほうだと思っていたのに、本能的に「これは無理かもしれない」という思いが頭をよぎります。その時思わず、「無痛分娩にしたい…」という言葉を口にしていました。それを聞いたスタッフの方たちは迅速に動いてくださり、別室で待っていてくれた夫も、リスクなどの説明を受け、同意書にサインをしてくれました。そして、無痛分娩の処置をしてもらって1時間足らずで、元気な女の子が産まれてきてくれたのです。私は赤ちゃんが無事に産まれてきてくれてほっとしました。
夫と一緒にお産を振り返って、私たちはだんだんと神様の計画に気づいていきました。産まれてきてびっくり。赤ちゃんは推定よりも500gも大きく、私の出血量も多かったのです。赤ちゃんはぎりぎりのところを産まれてきてくれたのだと思わされました。
無痛分娩にしたことで費用がかさみ、後ろめたさも感じていました。けれど夫が、「それはあなたが痛みを我慢できなかったのではなく、神様があなたの口を通して処置をお願いしてくれたのだよ」と言ってくれたことで私の心は救われました。後でお医者さんからは、「無痛分娩にしたいと言ったのは英断でしたよ。あの状況で最良の選択でした。そういう意味では安産だったと言えます」という言葉を掛けてもらいました。急な無痛分娩に対応してもらえたこともおかげでした。
また、計画分娩だったことで、あらかじめ入院日が決まっていたので、夫には仕事の段取りをつけて病院内にいてもらうことができ、おかげで同意書へのサインもすぐに対応してもらえました。何より一緒にいてくれることで心強い気持ちでお産に臨めました。
娘が産声をあげたその時、外では突然の雨が降り出し、大きな雷が鳴り響きました。祖父が亡くなった日と同じです。どうやら神様の計画を祈っていたのは、私たちだけではなかったようです。
娘は、天地の親神さまに導かれ、守られて、祖父の祈りを受け続けて、やって来てくれた大切な命だと感じています。
亡くなる直前までも人のことを祈り、亡くなった後も祈り続けてくれている祖父。その大きな大きな祈りを浴びてきた私。私も娘のことを、そしてこの子がこれから共に同じ時代を生きていく世界の子どもたちの幸せも祈っていきたいです。
(ナレ)いかがでしたか。何事も、自分の思う通りになるとは限らないものですね。とりわけ命の誕生に関しては、人間はほとんど無力です。わが子のために髪の毛1本さえ作ってやれないんですから。それでも赤ちゃんは、神様のお計らいによって、おなかの中で成長し、産まれてきます。私たちみんな、いわば神様の計画分娩でこの世に生まれてきたんですね。そしてその計画は今もなお続いていて、そのおかげで、今日のいのちもあるんですね。
