●先生のおはなし
「ぼくの町だ」

福島県
金光教福島教会
金光昌子 先生
私の古里は岡山県です。金光教本部のある金光町で生まれ育ちました。現在は福島県の金光教の教会に嫁いでおります。
平成23年3月11日午後2時46分、1千年に一度と言われる程のマグニチュード9.0の巨大地震が起こりました。突然、ゴオーという何とも恐ろしい地鳴りが聞こえました。すると、今度は建物が、グラグラと強く左右に揺れて、何かにつかまっていないと立っていられない状態でした。思わず、「金光様、金光様」と神様に唱えていました。
その後も強い余震が続き、福島市内では水道が止まってしまい、各地域に給水所が設けられました。1人1回6リットルの飲料水を列をなしてもらいに行く日が続き、トイレの洗浄水は近くの阿武隈川へバケツを持ってくみに行きました。初めての体験で、バケツにロープを巻きつけ、コンクリートの斜面から注意しながらくみ上げました。
震災後は、どこのお店も開店出来ず、4~5日経ってから営業が始まり、開店前から大勢の行列が出来、約2時間待ってお店に入りましたが、あっという間に陳列された食品が全て無くなるという状況でした。このような時、心配して下さった方々から食品や生活用品など支援物資を送って頂き、「ご家族やご信者さんは大丈夫ですか」「何か困ったことや必要な物があれば遠慮なく言って下さいね」と、心温まるお手紙やお電話、メールなどで激励のお言葉を頂き、我がことと共感して下さり、また、懐かしいお声を聞き、とても心丈夫になりました。1週間後に水道が復旧しましたが、その間、洗面や食事の仕度など、少ない水を大切に使う日々で、お風呂にも入れず、普通の生活が当たり前のように出来ることのありがたさを強く感じました。
特に福島県では大変なことが起きてしまいました。福島第一原子力発電所が大地震と大津波により全電源が停止し、水素爆発を起こし、放射性物質が広い範囲にわたり拡散してしまいました。私の住んでいる福島市は原発から北西に約60キロ離れていますが、放射性物質がどんなに危険なものなのか分からないまま、普段通りの生活をしていました。少しずつ情報が入ってくる中で、「外出の時にはマスク、帽子、手袋をする。雨には濡れない。洗濯物は外に干さない」などを心掛けました。
原発事故によって、天地の恵みである土や水や空気を一瞬にして汚し、多くのいのちあるものに大変な影響を与えてしまいました。そして、日本全国の都道府県にたくさんの人が避難するようになり、特に乳幼児と児童を持つ親御さんや妊婦の方は、健康被害を防ぐためにやむなく避難をしています。被災された方々は、大変心を痛めて困難な状況の中、日々の生活をしています。皆さんの近くに避難された方がおられましたら、快く迎えて、真心のある言葉で接して頂き、優しく見守って下さいますようお願い致します。
月日が経つごとに、明らかにされる原発事故の問題に対して私は憤りを感じます。これからの生活の上で特に食の安全性が心配です。そして、子どもたちの健康被害のこと、18歳以下の子どもたちは甲状腺がんの検査が始まりましたが、一生涯続けることになってしまいました。将来の子どもたちのことを思うと、とても不安になります。
思い起こせば、私の長男が幼稚園の頃に福島県外から車に乗って帰宅途中、夕方の町に明かりが灯り、福島市に入ると、福島盆地にある街並がキラキラと光っていました。すると、長男が、「あっ、ぼくの町だ」と言ったのです。その言葉を聞いて、私は、「この子の古里は福島なんだ」と実感しました。改めて、「福島で生まれて、福島で育ったのだ」とうれしく思ったことがありました。
現在、汚染されているこの生まれ育った土地、空、海の再生をひたすら願うばかりです。私にとってもご縁を頂いて27年になり、福島は第二の古里になりました。「この福島を守りたい」という思いでいっぱいです。
また、私が今日思うことは、震災に遭い、原発事故に遭っても、今までと変わることなく、起きてくることをそのまま受け止め、汚染した天と地にお詫びを申し、御霊様のことを願い、これからのことをお祈りさせて頂くことです。
あるご信者さんのお話ですが、七夕のころ、東京にいる小学1年生のお孫さんから写真付きのメールが届きました。その短冊には、「ふくしまの人が元気にくらせますように」と書いてあり、福島のおじいちゃんとおばあちゃんはお孫さんの優しいメールを見て、涙を流して喜んでおられました。この方は、娘さん家族や息子さんのことを教会に参拝し、お願いをされ、お孫さんが福島に来られると、もちつきなどの教会行事にも参加をされています。私は、お孫さんの純粋な優しい心に触れ、祈り合う心が親から子へ、子から孫へと受け継がれていると思い、ほのぼのとした気持ちになりました。お祈りの大切さ、祈り合う心の喜びを一層感じました。
震災にあっても、いつもと変わらぬ福島の空、そして、大地に根付く草花を見ていると、天地の力を感じます。天地の恵みの中で、福島の子どもたちが元気な心と元気な体を頂いて、大きくたくましく育ってほしいと思います。これからの東日本大震災の復興と原発事故の一日も早い終息を願い、このような過ちを二度と繰り返さず、平和で安全安心な暮らしが出来、子どもたちの明るい未来が開けますように共に歩ませて頂きたいと思います。
