シリーズ「あなたへの手紙」第2回「①お国替え/②物忘れ」


●あなたへの手紙
第2回「①お国替え/②物忘れ」

金光教放送センター


 皆様、おはようございます。
 富士山のすそ野に駿河湾が広がる自然豊かな静岡県にあります、金光教静岡しずおか教会の岩﨑弥生いわさきやよいです。今日初めてお手紙を読ませて頂きます。
 まず初めに、静岡県にお住まいの55歳の望月もちづきさん、女性からのおはがきです。

 友達が亡くなり葬儀の日程を調べようと新聞を見ていたら、訃報欄に、「○○さんがお国替えになりました」とありました。金光教でお葬式をするらしいのですが“お国替え”っていい言葉ですね。その意味を教えて下さい、というお尋ねです。

 望月さん、“お国替え”をいい言葉だと言って下さってありがとうございます。 望月さんは友達が亡くなって寂しい気持ちでいた時に、この“お国替え”という言葉に出会われて、言葉の意味から親しい人が消えてなくなったのではない、天国かどこかで生きていると思われたのでしょうか。
 金光教では、「天と地は生きている間も死んだ後も我が住みかである」と教えています。それは、命あるものは死んだ後、姿、形は見えなくなってしまいますが、みたまは、見えなくてもどこか遠くに行ってしまうわけではなく、同じ天地に共にあるということなんです。金光教の神様は生きている時も、死んでからもお世話になる神様です。霊は、死んでからも神様のお守り、お働きを受けているんです。そして私たちのすぐそばで見守って下さっているんですね。目には見えなくても、そばにいるって心強いですよね。“お国替え”とは、目に見える世界から、目に見えない世界に住む所を替えるという意味なんです。
 望月さんはお友達を亡くされ、さぞお寂しい思いをしていることでしょうね。是非、生きていた時と同じようにお友達に話し掛けてみて下さい。目に見えない相手に話し掛けることは、抵抗があるかもしれませんが、お友達にはちゃんとあなたの声は届いていますから。
 私の幼なじみも若くして亡くなりました。子どももまだ小さくて、奥さんや子どもたちが少しでも元気になればと思い、幼なじみとの思い出の曲をプレゼントしたことがありました。そのCDを届けて、車のエンジンを掛けたちょうどその時、ラジオからその思い出の曲が流れて来たんです。何か幼なじみが、私の気持ちを受け取ってくれた気がして涙があふれてきたことがありました。きっとあなたのお友達もあなたのすぐそばで、あなたのことを思ってくれていると思いますよ。

 次に、70代の女性の方からのお手紙です。

 私、最近物忘れに悩んでいるんです。先日、嫁がよそ行きの服を着て慌てて出掛けようとするので、どこへ行くのか尋ねると、「今日は長男の授業参観ですって、前から言ってたじゃないですか!」と嫁が強い口調で言ってきたのです。いきなり突っ掛かる態度に私はムッとして、「私はいつでも何にも聞かされてない」と言い返してしまいました。その時私は、本当に全く聞いた覚えがなかったのです。ところが昨夜の夕食の時に、「明日は授業参観の後、進路の話があるから帰るのが遅くなってしまう」という話を嫁はしたと言うのです。そして嫁は、「何でも話しています!」と言い残し、バタバタと出掛けて行きました。私は、夕食の時の話を聞き、そういえばと思い出したようなことです。嫁も急いでいたのでイライラして言ったんだと思いますが、私もつい余計な憎まれ口をたたいてしまって…。確かに最近忘れることが多くなって情けなく困っています。  
 このようなお手紙を頂きました。   

 そうですか。物忘れで行き違いが起きてしまったんですね。私は40代なのですが、私もよく物忘れをして子どもに叱られるんですよね。
 以前、私の尊敬する金光教の先生と話をしていた時のことです。お話が終わり私が靴を履いて帰ろうとしたその時に、先生が、「岩崎さん」と私を呼ぶんです。何か私に渡す大事なものがあり、それを渡し忘れていたということでした。私は、尊敬する先生でも忘れることがあるんだなと親近感を感じたのですが、しかし、次の瞬間、その先生が「忘れたのではないなあ。今、思い出させてもろうたのじゃ。神様ありがとうございます」と手を合わせてお礼を申されているのです。忘れたことを嘆かずに、すぐに思い出させて頂いたことにお礼をされる先生は、やはりさすがだなあと思いました。
 あなたもお嫁さんとのやりとりで授業参観のこと、思い出されたんですよね。思い出させて頂けたんですよね。歳を重ねていけば、いろいろ不都合なこともあるかもしれませんが、忘れる心配より、思い出せたらそのことを、そして差し支えなかったそのことを、喜ぶ生き方が出来たら、歳を取っていくことも不安でなくなるんじゃないですか。
 そのためには、やはりお稽古が必要だと思うんですね。毎日起きてきたことを感謝するお稽古です。お稽古といっても、そんな難しいことじゃないんです。お近くに金光教の教会がありましたら、教会の先生に日々の暮らしのこと、お話ししてみて下さい。あなたの不安や心配を一緒に考え、取り組んでくれますよ。

タイトルとURLをコピーしました