麦ごはん、ポロポロ


●先生のおはなし
「麦ごはん、ポロポロ」

福岡県
金光教岡垣おかがき教会
太田章江おおたあきえ 先生


 皆さん、おはようございます。
 皆さんは、麦ごはんを食べたことがありますか? 最近の健康ブームで、麦や雑穀を一割程白米に混ぜて炊いている方も、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。では、麦100パーセントで炊いたごはんを見たことがありますか?

 私の6歳の次女は、赤ちゃんの時からひどいアトピーで、お米と卵と乳製品のアレルギーがあります。ですから、お米の代わりに麦100パーセントの麦ごはんを炊いています。
 幼稚園の給食には、毎日この麦ごはんを持っていきます。幼稚園では、娘のアレルギーに対応したおかずを、毎回個別で作って下さっていますが、来年からの小学校では対応してもらえないものも多く、今から心配しています。というのも、10歳の長女も元々アトピーで、小学校の現状を知っていたからです。例えば“卵とじスープ”なら溶き卵を入れる前に一人分のける、ということをしてもらえます。でも、おかずによっては、対応のしづらいものもあるようです。
 長女が小学生になった時、毎月献立表が出ると、栄養士さんとおかずを一品ずつ確認して“食べられるもの”と“対応してもらえるもの”そして“家から持参するもの”に分けました。それをペンで色分けして冷蔵庫に貼り、毎日頭をひねりました。
 例えば、学校給食の定番、コッペパンは食べられないので、家でパンを焼くのですが…パンって結構ふくらむんです。「お友達に『いいな~』って言われたよ」と聞いて、みんなより大きすぎちゃいけないなと思って、丸く焼いたパンを2つ持たせたら、今度は「可愛くていいな~」って言われたそうです。通常の給食を食べるお友達との兼ね合いが、本当に難しかったんです。豪華すぎるとうらやましがられますし、素っ気ないと本人が寂しそうで心が痛みます。

 私は子どもの時から家族で金光教の教会にお参りをしていました。金光教では教会長先生のことを「親先生おやせんせい」とお呼びしますが、親先生は一人ひとりの抱えている問題を聞いて下さり、その人の心持ちに応じた助言をして下さいます。私も悩み事や進学、就職などの大きな節目の問題は、親先生にご相談してきました。親先生は私の相談を一生懸命神様に祈って下さり、神様の心持ちで助言をして下さいました。そんな中で、自分という人間の心持ちの小ささに恥ずかしくなったり、神様の全てを包み込むような大きなお心に温かくなったりしました。
 私は現在、福岡県内の教会へ嫁いで、金光教の教師にならせて頂きましたが、今でも家族に問題があれば、先生方にご相談をします。特に6歳の次女のアトピーはとてもひどかったので、毎日先生方とお話をせずには耐えられませんでした。
 赤ちゃんのころの次女は、かゆみがひどく、掻きむしって血がにじみ、顔や体中が真っ赤でした。そんな次女と電車に乗っていた時、見ず知らずの方から聞こえるように「お母さんの食生活が悪いとああなるんよ。赤ちゃんが可哀想…」と言われたり、身近な人であっても、アトピーへの誤解が多く、そんな出来事を先生方に話しているうちに、涙がポロポロ止まらなくなることが何度もありました。
 その度に親先生が「あんた誰とアトピーの治療するとね? 人の目を気にしたり、人を当てにせんで、神様と治療させてもらいんさい」とおっしゃいました。
 スーパーへ行っても、原材料をチェックすると食べられないものが多く、がっかりして、つい「あれはダメ、これもダメ」と言葉に出してしまいます。
 でも、親先生は「あれは食べれんとか、これは悪いとか言いながらも、毎日色々な食べ物を頂かせてもらっとるやろう。病気の重い人は、食事が一切出来んで点滴だけということもあるんよ。それを思えば、元気いっぱい走り回って、おいしそうに手作りのおやつをほおばっている子どもたちを幸せには思えんね? 毎日のようにカップラーメンやスナック菓子を食べている子どもたちに比べたら、この子たちは幸せばい」とおっしゃいました。
 「私から見た可哀想は、神様から見て違うこともあるんだな。親子で食生活に心を込めることが出来るのは、むしろ幸せなことなんだな」と、そこに気付くことが出来た時、体がじわ~っと温かくなってきて、張りつめていた心も溶け出して「今日から親子でもっと心を込めて食事を拝ませて頂こう」と改めて思いました。
 麦ごはんがポロポロして食べづらいと不足を言う娘にも「今、目の前にある食べ物さんに『ありがとう』がないと、食べられるものが増えていかんのやないね?」と話せるようになりました。
 現在アトピーを克服した長女も「あ~、このお野菜さんが、え~んえ~んしよるよ~。お野菜さん頑張って食べたら皮膚が強くなるけ、アトピーも早く良くなるよ~」と、アトピーの先輩らしく応援してくれます。4つも歳が離れていると、お姉ちゃんも半分お母さんです。赤ちゃんみたいに食べさせてもらったり、時にはお野菜交換会をしてもらって、次女も何とか完食することが出来ます。

 この2人が大人になった時、きっといつか「あのアトピーのおかげで」と食物や家族、神様への感謝の気持ちであふれる日が来る。そんな日を楽しみに、今朝も麦ごはんを炊いています。

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