●私の本棚から
「恩を知る」

兵庫県
金光教三木教会
片島斎弘 先生
おはようございます。兵庫県金光教三木教会の片島斎弘です。今日は私の本棚から1冊の本を紹介します。タイトルは「よいことを聞き、よいことを見る」福田源三郎教話集です。1990年、金光教横浜西教会から発行された書籍です。
タイトルの「よいことを聞き、よいことを見る」というのは、福田先生がよく「信心すれば、よいことを聞き、よいことを見るようになるんだ」と仰っていたことからつけられたそうです。この本には、教会にお参りに来る方たちに向けてお話をされた内容が11話掲載されています。その中から「恩を知るこころ」という話を一部抜粋して紹介させていただきます。話の中で出てくる畑徳三郎先生は、福田先生が尊敬する大先輩です。
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これは畑徳三郎先生から承ったことですが、「恩」という字は二字なのだということです。すなわち、上の「因」という字、それからその下の「心」という字、この二つの字なんだ、漢文のように返り点を付ければ、「心に因って」生ずるのが恩だ、ということでございます。 私たちが恩を受けたということは、何か困った時に助けてもらったりしたことを御恩と感じるのですが、それは確かにそうに違いないのですが、人が自分にしてくれたことが恩でありますならば、それを受けた者はみんな同じようにその恩を感じるべきですけれども、受ける人の心々によりまして、その恩が大きくも感じられますし、小さくも、また何でもなくも感じられてしまうのです。
一番分かり易い例えを申せば、親が何人かの子供をもって、その子供を育てるのに、分け隔てをして育てる親などありません。けれども、その子供がみんな同じように、親の御恩をありがたく思うかというと、たくさんの子供がいれば、それぞれ見方が違います。中には、山よりも高く海よりも深い御恩を感じている子もありますし、当り前だと思う子もありますし、もっとこうしてくれれば良かったのに、ああしてくれれば良かったのにと不足に思うような者もあるかもしれないと思います。
これが明らかに物語っているように、親がしてくださることに変わりはないのにかかわらず、受ける方の子供にそれぞれ違って受けられるということは、受ける方の心によって恩は生ずるからで、恩というのは向こうにあるのではなくて、受ける者の心にあるということです。結局恩を恩と感じ、人が恩とは感じないようなことの中にも御恩を感ずるというように、恩を感ずる心が深ければ深いほど、大きければ大きいほどその人は立派な人なのだと思います。
※ラジオ放送用に変更を加えている箇所があります。表記は原典に基づいています。
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いかがだったでしょうか。私はこの本を読んで考えさせられました。そして、私の尊敬する信心の大先輩のよし子さんのことを思い出しました。御年95才です。よし子さんは、どんなことでも「ありがたい。ありがたい」と言われ、愚痴や不平を聞いたことはただの一度もありません。そんなよし子さんの周りには常に温かい雰囲気が漂っており、いるだけで周囲の人が和むものでした。よし子さんが入院した際には、看護師の方が、「よし子さんは、自分がしんどいにも関わらず、いつもありがとう、ありがとうと言ってくれてうれしかったです」。そうお礼を言われるくらいでした。
そんなよし子さんですが、92歳の時に大腿骨を骨折され、手術とリハビリを乗り越えました。その過程はとても大変だったと聞きますが、そんな中でも常に感謝の気持ちを忘れませんでした。ある日、お見舞いに行った際に、よし子さんはこう話してくれました。「これだけ長く使ってきた足なんだもの。よくお礼しなさいよ、と神様が言ってますね」。そう言って足をさすりながらほほ笑んでいました。
また、リハビリ中に、「よし子さん、痛いですか?」と聞くと、「痛いです。痛いですけど、痛いのが少しはないと、体を大切にできないからね。神様が我慢できる痛みを残してくれてる」。ニコッと笑ってそう答えてくれました。
さて、福田先生の本の中では親の御恩という例えで分かりやすくそのことを教えてくれましたが、親だけでなく、天地のお恵みや、体の働き、人、物にお世話にならなければ私たちは生きることができません。私は、この私たちを生かそうとする働きすべてが「神様」だと思っています。よし子さんはこの神様の御恩を感じているからこそ、こんなに苦しい中でも、お世話になっていることに感謝ができるのだと思うのです。そして、恩を受け取る心を養っているからこそ、よし子さんの周りには自然と温かい空気が流れるのだと思いました。
この本と出合い、私の心に因って恩が生まれること。そして、心に因って無いことになってしまうこと。そう考えると幸せに生きる上で、私自身の心の在り方はとても大事だと学びました。すぐに愚痴が出てしまう私。まだまだです。皆さんは日々の生活でどのように「恩」を感じ、それを現しているでしょうか。今日はちょっとだけ皆さんも自分の日常の中の「恩」を探してみてください。皆さんの生活が豊かになりますように。
