●第2回
「かんべむさしの金光教案内7」

金光教放送センター
おはようございます。かんべむさしの金光教案内。2回目の今朝は、明治時代に和歌山市で教会を開かれた、澤井光雄という先生のお話をさせていただきます。
澤井先生は幕末時代に備後の国、今の広島県の福山の近くで生まれられました。そして若い頃に大阪に出て働いておられたんですが、明治16年、24歳の時、大病にかかられました。
高い熱が出て、腸チフスと診断されたんですけど、「天地金乃神様、金光様と一心に頼みなさい」と教えてくれた人がありまして、そのおかげで無事に全快しました。そして教えてくれたその人は、近藤藤守という徳の高い先生が開かれた、大阪の難波教会に通っておられたので、澤井先生もその縁で、難波教会で信心を始められたんですね。
ところが、そのあと何をしても失敗が重なり、やむをえず大阪を離れて、神戸で奉公することになりました。その時代には神戸教会に通って熱心に信心を進め、自分も人助けをする身になりたいと、そう願うようになっておられたんです。
一方、澤井先生はすでに結婚しておられて、5歳と2歳の女の子もいたんですけど、奥さんは信心しない人だったので、夫婦仲が悪くなりました。それで結局、上の子は奥さん、下の子は自分が引き取って、別れられたんです。
そんなわけで澤井先生、貰い乳にまわったり、お乳の出る人に預けたりして苦労された。最終的には、その子は広島の故郷で自分の母親に育ててもらうことになったんですけど、私、この話を初めて知った時には、「そうまでして信心を続けんといかんのか」と、心に重さを感じておりました。自分はそこまでは、とてもできませんからね。
で、澤井先生はその後、30歳前になってから大阪に戻り、難波教会で修行を始められたんですが、近藤先生が神様や教祖様の教えとか戒めを書き記しておられた大切な手帳を、先生の留守中に見つけて、書き写したという話があります。
それを知った近藤先生から、「写したものを返せ」と怒られたそうですけど、当時の金光教内では、まだ書籍もほとんど出てなかったので、先生方も教えを受けたら自分で書き記しておられたんですね。「今はたくさん出てるから、逆に読み方が浅くなるんだな」と、これは私が自分の経験から反省したことです。
そしてそのあと、澤井先生は近藤先生の指示を受けて、和歌山市へ布教に出られましたが、最初は、部屋は一間だけで窓もひとつという、納屋のような家でした。神様を祀る道具類も揃ってないので、畳の上に新聞紙を敷いて三宝なんかを並べてたら、参ってきた人がその粗末さに、あきれて帰ったりしたそうです。
その後、少し広い家に移り、信者さんも増えだしまして、澤井先生、当時は布団で寝たことはなかったと言っておられます。神前で信者さんたちの願い事の実現、悩み事の解決を祈り続け、眠くなったらその姿のまま仮眠を取って、また祈りを再開する。
それで5年ほど経ったら、月次祭という月々のお祭り日には、400人ほど参ってくるようになっていたそうです。
明治22年の8月、和歌山は暴風雨と大洪水に見舞われ、県下全域で1200人余りの死者が出ました。その時には澤井先生、人々の無事を祈り続けられましたが、教会内に流れ込んでくる濁流はどんどん水かさを増す。遂には立ち上がって祈りつづけた、その腕の肘のあたりにまで水が来たそうです。それで内側から屋根を破ってその上に出て、ようやく救助されたという、壮烈なお話です。
またのちには、霊妙な体験もしておられます。難波教会のお祭りに参列する時、和歌山教会のお祭りを終えてから、夜遅くの出発になるので、鉄道も船も動いてない。夜通し歩けば朝には着けるだろうと、信者さんと2人で出かけられたんですけど、近道をしようと脇街道に入ったら、雨が降りしきってる暗闇の中だったので、迷ってしまって、どこがどこだか分からなくなられたんですね。
ところがそんな雨の真夜中なのに、田圃の中に2人の男が立ってまして、その彼らに聞いたら、方角や道筋を教えてくれた。
真っ暗闇ですから顔は分かりませんが、声や言葉の調子から、それはすでに亡くなられてた教祖様と、その跡を継がれた二代金光様に違いないと思われた。
それに気が付いた澤井先生、思わずその場に座り込んでしまわれたそうです。そしてそのあとも、先の見当がつかなくなるたびに、突然3人連れの男が出てきたり、若い女性が追いついてきたりして、教えてくれた。
それでやっと本街道に出られて、その結果、難波教会のお祭りに間に合ったんだそうですが、澤井先生は、「不思議と申しましょうか。これほどまでに神様がお守りくださっていることを、思い起こすごとに、感涙にむせんでおります」と言っておられます。
そして私は、「やっぱり、こういうことはあるんやなあ」と思っておりました。日頃、澤井先生が神様を信じて尽くしておられた、その真の心に対して、神様がそういう導きを示してくださったんだろうと思ったんですね。
はい。それでは来週は、金光教で使われてる、神様を拝む詞、賛える詞のお話をさせていただきます。ありがとうございました。
