「純生(じゅんなま)づくりの信心」


●私の本棚から
「純生(じゅんなま)づくりの信心」

兵庫県
金光教曽根そね教会
島谷一久しまたにかずひさ 先生


 おはようございます。金光教曽根そね教会の島谷一久しまたにかずひさです。
 私は日々、教会で、お参りになる方々の願い事を聴いて、一緒に神様へお祈りをしたり、お話をしたりしています。
 そんな中でたまに、「あなたは神様の声が聞こえるのですか?」とお参りの方から尋ねられることがあります。
 私はいつも「さっぱり聞こえません。でも大丈夫。なぜなら神様は、そんな私どもにでも分かるように、いろんなことを通してメッセージを下さるからです」とお答えしています。
 今日は、福岡県・金光教不知火しらぬひ教会発行の『不知火百年物語』から、私の感動したエピソードの一つを紹介させていただきます。
 不知火教会長である池本純生いけもとすみおさんの長女は、生まれた時に心臓に穴が空いていました。そこですぐに手術を受けなければならなくなりました。その時のことが書かれた部分を一部抜粋して朗読させていただきます。
 ちなみに、純生さんのお名前は、純粋の「純」に「生きる」と書いて「すみお」と読みます。この事がお話の中で鍵となってきます。どんな鍵なんでしょう。
 それではお聞きください。

 すぐに手術をしないと助からないほど大きな穴が開いていましたが、手術の空きがないということでした。心は、不安と心配でいっぱい。「なぜ? どうしてなんだ。元気に生まれてくるはずなのに、どうして、何が原因なんだろうか」と、自分が今までしてきたことを顧みるわけですね。「もしかしてこれは、自分や先祖が重ねてしまった神へのご無礼の報いなんだろうか」とか、悪いことばかりを思い、自分を責め、先祖の行いを責め、どうしてどうしてと、悶々とする日々でした。
 長女は日に日に痩せ細り、とうとう自力で呼吸できなくなり、人工呼吸器を着けたその姿を見た時に、何もできない自分に落ち込みました。
 妻のご両親も、「どんなに真っ暗闇のようにあっても、神様のお働きがあり続けているよ。その働きという光があれば、通れるよ。神様が、あなたたちに力を授けるためのこの子の病気なんだよ」と話してくれますが、頭では理解できるものの、実感できずにいました。
 そんな中、あるご信者さんからお菓子のゼリーを頂いたんです。「先生どうぞ」と。そのゼリーには「純生(じゅんなま)作り」と書いてありました。私は、じゅんなま(純生)と書いて「すみお」といいますから、「珍しいなぁ『純生』なんて」と思いながら、その時は気にも留めていませんでした。そしたらまた、別の方から「先生どうぞ」と、同じ「純生作り」のゼリーを頂いたんです。
 その時に、「ハッ!」としたんですね。「ああ! そうか! この子は『純生作り』、私の心を育てるための、純生(すみお)を育てるための、神様のご都合なのか!」と弾けるような思いになりました。「神様は、『信心とは、自分の心を育てることだぞ』ということに気付かせるために、お働きくださっているのか!」と、初めてそこで、神様のお働き、神様の願いを実感し、感動を頂いたんです。
 そのことがあってから、少しずつですけれども、毎日、成り行きの中にある、神様のメッセージに心を向けられるようになっていき、気付けるようになり、夫婦でそういう話ができるようになりました。心配はあるけれども、神様のお働きを身近に感じ、夫婦で、「ありがたいね、お礼しかないね」と言いながら、通らせていただくことができました。
 今までは難儀に心が向いておったのが、神様に向いたんです。
 「どうしてこんなことに」ではなく、「こうして私の心を育ててくださる」。
 「どうして」から「こうして」と思えるように、私の心が変わっていきました。
 そうしたら状況が変わって、手術のキャンセルがあり、急遽、手術ができるというおかげになってきたんですね。長女は無事に手術のおかげを頂き、現在二十一歳になりますが、元気におかげを頂いております。
 「問題を通して、自分の心を育てる」というみ教えを知らなかったら、神様に拝み倒すような信心や、何かのせいにして投げやりになっていたり、妻を責めたり、私が一番嫌だった家庭の不和を繰り返していたのかもしれません。

※ラジオ放送用に変更を加えている箇所があります。表記は原典に基づいています。

 いかがでしたか。
 純生さんは普段は寡黙な方ですが、この本にある純生さんの言葉や、どんな中にあっても神様をお慕いする姿に、私は強く心を打たれます。
 素直な信心、この生き方、めっちゃ良いですよね。つい理屈っぽい言い方や考え方になってしまっている私だったと気がつきます。大切なものを忘れてたなと反省しきりです。
 皆さん、ハッとする瞬間、パッと気づかせていただく瞬間、そこに神様からのメッセージがこもっているかもしれませんよ。

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