●第5回
「かんべむさしの金光教案内7」

金光教放送センター
おはようございます。かんべむさしの金光教案内、最終回の今朝は、金光教の教えにあります、「お礼・お詫び・お願い」ということについて、お話しをさせていただきます。ただし、念のために申しておきますと、この場合の「お礼」というのは、感謝の思いや言葉という意味で、お金をどうこうということではありません。
で、金光教は、非常に穏やかで間口の広い宗教です。もちろん奥へ進めば厳しい面もあるようですけど、とにかく無理や不自然さのない、初めての人にも入りやすい雰囲気です。その証拠に、教祖さんはこう言っておられます。
「神様を拝むのに、ここでは別に決まりはない。実意丁寧正直、真一心がかなめである。まず、日々生きさせてもらっているお礼を申し、次にお互い凡夫、凡夫というのは普通の平凡な人間ということですが、その凡夫の身ゆえ、知らず知らず、神様に対して御無礼、お粗末、お気障りなことをしているだろうから、そのお詫びを申し上げる。そしてそれが済んだら、自分の身の上のことや暮らしのことなど、何でも実意をもってお願いさせてもらえば、それでよいのである」。
以来現在に至るまで、教祖さんの跡を継がれた歴代の教主様も、この「お礼・お詫び・お願い」を、御自身も日々実行され、信者さんたちにも教えてこられたんですね。
例えば三代金光様は、神と人とを取り次ぐ御用を明治時代から昭和の戦後まで、足かけ70年間続けられ、我々には想像もできない徳の高さや境地に達しておられた方だそうですが、そんなお方だからこそでしょうか、神様に対しては、「お礼が足りないお詫びばかりしております」と言っておられます。
また、四代金光様は「すべてに礼を言う心」ということを強調され、何を祈るにしても願うにしても、まずお礼から入るようにと、教えておられました。「心配が起きるのは、お礼が足りない時です」とも言っておられ、私は心配ばかりしてる人間ですから、初めてこの教えに接した時には、正直申しまして、堪えました。
で、そんなわけで、明治時代以来、各地の教会で御用を勤めてこられた先生方も、この「お礼・お詫び・お願い」を実行され、教えてこられました。なかにはそれこそ「すべてに礼を言う心」で、あれもありがたい、これもありがたいと、1日1300回ほどお礼を言っておられた、徳の高い先生もおられました。
また、これは私が非常に興味深く感じたことなんですけど、信者さんたちに教えるのに、お礼を強調される先生もおられ、また、お詫びを強調される先生、あるいはお願いを強調される先生もいらっしゃったそうです。
ただし、どれを強調してても、その奥底にある思いは同じで、それを通して、「神様に助けてもらわなければ、何事も自分の力だけではできないんですよ」という、人間の無力、我々が持つ力には限りがあるのだということを、教えておられたということです。
ところで、話はちょっと変わりますが、文章の組み立て方に、起承転結という方法がありますね。そして私は作家という仕事柄、この方法の便利さを本当に実感しております。そして、今回お話をさせていただいてる「お礼・お詫び・お願い」について、「これは文章における起承転結、その方法に匹敵する組み立て方だな」と思っております。
例えば、私は先ほども申しましたように心配の多い人間でして、おまけに作家なんて不安定な職業ですから、焦ったり不安が募ったりすることが、これまでいくらでもありました。その度に、「仕事が途切れないようにしてください。もっと忙しくしてください」と、教会で先生にお願いしてきてるんです。そして自分でも心のなかで神様にお願いをするんですが、ただ「忙しくしてください」だけでは、不安のために焦ってうろたえてるような祈りになってしまいそうでして。そこで、「お礼・お詫び・お願い」を思い出して考えますと、「これまで大きな病気もせず、無事にこの仕事を続けさせていただきましてありがとうございます」とか、「家族もよく協力してくれておりましてありがとうございます」とか、お礼を申し上げるべきことはいくらでも出てくる。
一方、「思うようなレベルの作品がなかなか書けないのは、自分の努力が足りないためです」とか、「こないだ送った原稿のあの部分に危うさを感じてたのは、資料の読み方が浅かったからでした。まことに申し訳ございません」とか、お詫びもいろいろ出てくる。
そうやって組み立てていきますと、「何かと至りませんが、私はこの仕事が好きですから、一生懸命にやらせていただきますので、どうぞ忙しくしてください」と、お願いにも筋道が通るように思うんですね。
ただし、今申しましたような組み立て方ができるようになったのは、いわば最近のことでして、それまでは不安と焦りで、うろたえてるようなお願いだったんですけどね。
しかしとにかく、「お礼・お詫び・お願い」は、金光教の信者さんでなくても、自分の思いや考えを整理する時に応用していただける、良い教えだと思います。
はい。というわけで、「かんべむさしの金光教案内」、5週にわたって、お聞きいただきました。機会がございましたら、またいつか、お話を。ありがとうございました。
