大きな祈りと願いの中で


●信者さんのおはなし
「大きな祈りと願いの中で」

金光教放送センター


 名古屋駅から電車に揺られて約30分。愛知県知多ちた半島の付け根に大府おおぶ市はあります。
 ここにある金光教大府おおぶ教会に毎朝お参りしてから出社する安達美智雄あだちみちおさんは、昭和29年生まれの61歳。若々しい笑顔に眼鏡の映える方です。世界に展開する自動車部品メーカーの会社の役員を務め、多い時は1年に15回も海外に出張するハードスケジュールの中を、心も体も健康のおかげを頂いて毎日頑張っています。
 「私は、会社に入ってから嫌な上司に一度も会ったことがありません。なぜだか分かりませんが、どの方も私を引き立ててくれました。今に思うと、全て神様のお導きであり、私を使って下さっているんだと感じるんです」と、嬉しそうに話します。
 安達さんは、金光教の信心を熱心にする両親の元に3人姉弟の末っ子の長男として岡山県に生まれました。
 大学生となり、お母さんから毎月送られてくる仕送りには必ず手紙が添えてありました。内容のほとんどは金光教の教えであり、特に体のことに関係する教えでした。安達さんは、子どもの頃から体が丈夫な方ではなかったからです。
 「また金光教の話か…」
 そんな気持ちでいつも手紙を読んでいた安達さん。けれどもお母さんの手紙は、「困った時には、教会にお参りしたら必ずおかげが頂けるよ」と、信心への道をやんわりと示してくれていました。
 手紙は就職してからも続き、やがてダンボール箱いっぱいになりました。
 「私に金光教を信じてほしい、教えを一つでも伝えたい、という母の願いが私の中に染みこんで神様に向かう心が生まれてきたように思うんです」と、振り返ります。
 安達さんは、就職してからも教会にお参りすることはありませんでした。ところが3年ほど経ったある日のこと、車を運転していて大府教会の看板がふと目に飛び込んできた時に、この教会にお参りしたいという強い気持ちが急に湧き起こってきました。
 26歳の時、初めて一人で教会にお参りすると、教会の先生ご夫妻が優しく迎えてくれました。
 安達さんは言います。「教会にお参りしたことを母はとても喜んでくれました。これは自分が出来る親孝行だと、とてもありがたく思えました。また、教会にお参りすることによって世の中の見方、感じ方が変わってきました。例えば、人を大切にすることが出来るようになりました。若い時に比べて焦らなくなったし、社内、社外の人との人間関係も良くなっていきました。信心を通して自分が成長していくのをありありと感じました」
 安達さんは、27歳の時に教会の先生ご夫妻の仲人で結婚しました。
 結婚の翌年にお父さんが亡くなり、岡山で一人暮らしとなったお母さんに一緒に暮らして欲しいと、4年後に家を新築しました。それも、「家を建てるのなら教会のそばに」と言うお母さんの願い通り、教会から歩いてわずか10分の所でした。お母さんは、住み慣れた岡山を離れて一緒に暮らす決心をしてくれました。そして、毎朝6時のお参りを雨の日も風の日も楽しみに続けられたのです。
 安達さんも引っ越しの翌日から毎朝7時にお参りし、仕事のことを先生にお願いしてから会社に行くようになりました。
 「先生はいつも私のお参りする時間に待っていて下さり、どんなことでも聞いて下さいました。部下に対してモヤモヤしている気持ちや不満をお届けすることによって、仕事での道筋が頭の中で整理されていくのが分かりましたし、私の願いが神様にお願いすることによって道がついていくのをはっきりと感じました」と、話します。
 課長昇進を先生に報告した時のことでした。「安達さんが役員となることを神様にお願いしています」と、言われたことがありました。
 先生は、一緒にお祈りして下さり、また、世のために立ち働いて欲しいとの大きなお祈りもして下さっていたのです。
 ある時、安達さんの担当した新製品が量産開始直前に品質に問題があることが判明し、テストをすることになりました。電話で先生に報告して良い結果を神様に願いましたが、実際は悪い結果でした。これは神様からの、「やめておけ」というメッセージと受け取り、新製品を出荷しないことにしました。関係先が多岐に渡るため、勇気のいる決断でしたが、仲間と共に最善の善後策を検討し、取引先からも全面的な協力を得ることが出来、無事に解決出来たのでした。
 全てに正直であり、人を大切にしながら、何事にも丁寧に取り組む安達さんは、その後、先生の願い通り役員となることが出来たのです。
 「これは、たくさんの人たちの働きはもちろんのこと、神様のお働きなくしてあり得ないことだ」
 その日早速に教会に報告に行くと、先生は我が事のように喜んでくれました。
 「今の私は自分のことを祈るばかりで、人のことを祈ることがまだまだ足りません。さらに人のことを祈り、人を大切にさせて頂きたいんです。そして人を大切にするこの会社を守っていきたい」と、笑顔で言い切る安達さん。
 金光教には、「自分のことは次にして、人の助かることを先にお願いせよ。そうすると、自分のことは神が良いようにして下さる」という教えがあります。
 安達さんは、お母さんをはじめご家族、そして教会の先生の大きな祈りと願いの中で、自分のことは神様にお任せという気持ちにならせてもらいながらも、人のことを祈り続け、仕事に頑張っています。

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