神人あいよかけよの道


●年頭放送
「神人あいよかけよの道」

金光教教務総長きょうむそうちょう
佐藤光俊さとうみつとし 先生


 皆様、新年明けましておめでとうございます。それぞれに、改まったお心で新年をお迎えになったことと存じます。
 金光教では基本方針を、「世界・人類の助かりに向けて、金光大神こんこうだいじんの信心を求め現す」と定めて、もろもろの教団活動を進めておりますが、私も、新たな年を迎え、なお一層、世界の平和と人類の助かりのお役に立つ生き方を心掛けてて、今年1年を送ってまいりたいと願っております。

 金光教の教祖、金光大神様は、神様と人間があいよかけよで立ち行く道を、生涯かけて説き続けました。「あいよかけよ」とは、岡山県の古い方言で、この言葉によって、遠い昔から遙かな未来へ向かって営まれる悠久の天地の働きと、今を生きる人間との関わり合いを、「あいよかけよ」と言い表しました。

 ところで、私はある朝、本部広前にお参りした帰りに、明るく輝く明けの明星を見ました。続いて、空一面を東西南北と眺め回すと、満天の星空。しばらく見とれていましたが、ふと気付くと、お星様から私が見られている、いや、見守られているんだという、えも言われぬ不思議な思いが湧いて来たのです。
 天地全体をご神体しんたいとされる天地金乃神てんちかねのかみ様は、人間を始め万物が生きて行く上で根源的な働きをして下さる神様であり、どのような人間も、天地金乃神様のお恵みとお働きの中に生かされています。そして、金光大神様は、「天は父、地は母」とも教えられていますが、これこそ、見守られているという捉え方だと、その時、直感したのです。この道理を知り、神様の恵みと働きを有り難く受けることによって、人間の生き方は、尊い生き方となると思われます。同時に神様も、そうした尊い生き方に目覚めた人間によって、神の働きを十分に現すことが出来るのであります。
 このような神様と人間の関わり合いは、時に親子の関係に例えられます。親は子どもを授かることによって初めて親となることが出来、また、子どもは親なくしては存在しえません。そのように、親と子が同時に生まれるという関係が、神様と人間との間にもあり、そういう関係を、金光大神様は、「氏子うじこあっての神、神あっての氏子」と言われ、その間柄を、「あいよかけよ」と表現したのです。
 私たちは、天地金乃神様とあいよかけよの関係での生き方を、生活の中で求めています。いつ、どこで、何をしていようとも、神様と共に私はある。その道理に目覚めると、大天地だいてんちに満ちわたるいのちの息吹は我が命となり、我が身の内にある神様が働いて下さって、どのようなことに出合おうとも、必ず道は開けていく。そうした確たる思いがふつふつと沸き起こり、生きる力がみなぎってくるという実感があります。

 もうはるか以前に亡くなられたある長老のお話があります。その先生はお弟子さんから、「先生、私の心がどうなったら、おかげを受けたというものでしょうか?」との質問を受けました。
 するとその先生は、「そうじゃのう。天地の働きがどのように変わろうとも、有り難いという心が変わらぬようになったら、おかげを受けたというものじゃ。たとえ、身の上に何があってもぞ」と答えられたということです。
 これは、よく耳にしていた話ですが、私自身、そういう心には、なかなかなり得ませんでした。しかし、様々な経験をする中から、人間の力ではとても及ばない天地のお働きに生かされているということを思い知らされたのであります。
 今、時を経て、この話を思い出す度に、私自身が神様の御物おんものであり、御働おんはたらきであるという揺るぎない確信が生まれています。  

 私どもは、昨年の東日本大震災によって、大きな悲しみや苦しみ、不安を経験しております。そして、たくさんの方々の死や故郷の喪失、幾重もの悲嘆の事実にも直面し、その痛ましさや切なさに心が押し潰されそうな経験をしました。
 そうした中で、先ほどのお話がふとよみがえり、私どもはこの天地の間に住まわせてもらい、天地のお恵みとお働きに生かされているという事実に立ち返らされてもいます。

 これからの1年間、私たちはどのような出来事に出合うでしょうか。これまで世界を安定させていた秩序が力を失い、先の見通しが立たない中で、今年も始まりましたが、それでもどこかに光明を見い出したいという思いは、誰しもがお持ちのことでしょう。
 そんな時、遠い昔からはるかな未来へ向かって営まれる悠久の天地の働きと、今月今日の今を生きる自分との関わり合いについて、折々に思いを巡らしてみてはいかがでしょうか。
 人間の思いや知識をはるかに超えた営みを、営々と続けられてきているこの天地。天地のいのちを頂いて、今月今日、生かされて生きている私は、今年も、世界の平和と人類の助かりのために、神人あいよかけよの道を歩み続けてまいりたいと願っています。

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