シリーズ「あなたへの手紙」第1回「①家の取り壊し/②引っ越し」


●あなたへの手紙
第1回「①家の取り壊し/②引っ越し」

金光教放送センター


 おはようございます。岡山県、金光教邑久おく教会の小林眞こばやしまことです。
 早速ですが、お便りを紹介しますね。これは、40歳の会社員の方からです。

 2人の子どもたちも大きくなり、古くて狭くなった今の家を壊し、新居を建てることになりました。完成まではアパートでの生活になりますが、その引っ越しも終え、少し落ち着いたところです。それで、今まで住んでいた家ですが、長年住んでいた家でもあり、壊してしまうのが何か寂しい気がしています。

 こんなお便りです。
 新居、今から完成する日が楽しみですね。でも、今まで住んでいた家が無くなってしまうのも、また寂しいでしょうね。
 あなたのお便りを読んでいて、私は若い頃のことを思い出しました。 それは、ある教会の掲示板に、「長年住んでいた家がいよいよ壊されるという前の日、その壊される家を、家族全員で拭き掃除した」という内容だったんですが、当時の私はそれを読んだ時、「どうせすぐ壊してしまう家なのに拭き掃除だなんて、どうかしてる」。正直、そう思ったんです。
 それから何年かして、私が教会で御用をするようになってすぐのことなんですが、長年愛用してきた、軽自動車を買い替えることになって、それで、その車が引き取られていく前の日に、奇麗に洗ってワックス掛けまでしたんです。それで、ワックスを掛けながら、思い出したんです。「壊してしまう家を、みんなで雑巾掛けをした」という例の話を。
 ただの合理性、ということだけで考えると、いくら奇麗にしてみたところで、すぐに解体されることは、家も車も、もう決まっているんですから、そんなものに手間暇掛けるというのは、一見無駄なように思うかもしれません。でも、今までお世話になってきたものに改めてお礼の心を向ける、というのは大事なことだと思うんですね。
 今は古くなってしまったのかもしれませんが、その家で、あなたは大きくなり、そしてあなたの大切なご家族も、ひょっとするとあなたのご両親も、お世話になってきた家ですから、「どうせ壊してしまうもの」ではなく、「長い間お世話になりました」と、お礼の心を持ってお別れをして下さい。あなたが、「古い家を壊すのは寂しい」と言うのを聞いて、安心しましたよ。「家が無くなるのが寂しく思う」のは、大切に思っていたからでしょうね。
 金光教では、「お世話になったものにお礼を言う心」を大切にしているんです。 もし、あなたの近くにも教会があれば気軽に立ち寄って、そんな話を聞いてみて下さいね。

では次のお便りです。これは広島県にお住まいの28歳の女性の方から頂いています。

 この春、県内の方と見合い結婚しました。主人はすごくいい人で、今はとっても幸せなのですが、主人が横浜に転勤することになってしまいました。横浜は私には遠いです。親と遠く離れてしまうことや、せっかく仲良くなった大勢の友人たちとも、なかなか会えなくなってしまうのも寂しいです。見知らぬ土地に行くので、不安で仕方がありません。転勤は本当に突然の話で、驚きと不安で心の整理がつきません。どうしたらいいのでしょうか…。

 こんなお便りです。
 そうですか、広島から横浜に…ですか。あなたの寂しい気持ち、よく分かりますよ。28年間も慣れ親しんできた土地を離れ、ずっと守られてきた親元を離れ、おまけにお友達とも離ればなれになるんですから。誰でも、あなたと同じような気持ちになるんじゃないでしょうか。
 私の友人に、2年ほど前、九州に転勤した人がいるんです。その友人の奥さんと、「転勤って、大変ですね」って、そんな話をしたことがあるんです。すると奥さんが言うのには、引っ越しする前は、やはりあなたと同じように、心配で仕方がなかった。
 でもいざ引っ越ししてみると、荷物の片付けやあいさつ回りなど、なんだかんだで毎日が慌ただしく、気が付いたらご近所さんや主人の会社の同僚の奥さんと、いっぱい友人や知人が出来ていて、寂しがってる暇なんてなかったそうです。
 「会うは別れの始め」なんていう、何だか寂しくなるような言葉があるのですが、また逆を言うと、「別れは新しい出会いの始まり」なのかもしれませんね。その奥さんですが、「新しい友達がたくさん出来た」と喜んでましたよ。
 あなたにはたくさんのお友達がいるそうですが、それは、あなたが今まで、友達のことを思い、大切にしてきた証拠だと思います。人を大切にすることは、最も大事なことの一つだと、金光教では教えているんです。
 たとえ横浜へ行っても、特別変わったことはしなくても、あなたは今までと同じようにしていたらいいのではないでしょうか。これからいろいろと縁あって人と知りあうと思うのですが、是非その縁を大切にして、人を大切にして下さい。そうすれば、新しい友達がすぐに出来るのではないでしょうか。
 よく、その土地に慣れる、ということを言いますが、土地に慣れるというのは、地理に詳しくなるというのもあると思うのですが、もう少し考えてみると、その土地に住んでいる人と仲良くなる、ということなのかもしれません。
 すぐに横浜に慣れますよ。そばにはご主人もいることだし。大丈夫ですよ。私もお祈りしていますね。

タイトルとURLをコピーしました