不安の渦に巻き込まれた時には


●信心ライブ
「不安の渦に巻き込まれた時には」

金光教放送センター


(ナレ)おはようございます。今日は、金光教本部にお勤めの野谷雄輝のたにゆうきさん(京都府金光教北野きたの教会)が、令和5年6月にお話しされたものをお聞きいただきます。

(野谷)私は、子どもを3人授かっております。一番上の長男が、今年の3月に、高校を卒業させてもらいまして、専門学校に通わせていただいております。アルバイトをしながらですね、アパートで一人暮らし。掃除、洗濯、炊事も、初めて尽くしみたいですけど、自分ひとりでやっております。その長男が、一人暮らしをして一週間も経たないうちにですね、妻にこんなLINE(ライン)のメッセージを送りました。
 「何でも一人ですることは苦ではありませんけど、大変さは実感しています。気付かなかったけど、今までずっと、お父さんやお母さんが、私たちの知らないところで、いろいろとやってくれていたということを知りました。ありがとう」
 というメッセージを送ってくれました。妻は、そのLINEを見て、ありがたくて泣いておりました。
 一人になって、一緒にいる時には見えなかった、感じられなかった親の働きを感じたということなんでしょう。また一つ長男が、大人になったなあということを思いまして、喜びました。
 父の日に、また長男から家族のLINEグループに、メッセージがありました。「お父さん、いつもありがとう」というメッセージをくれました。家族のグループLINEなんで、高校一年生の次男がそれを見て、冗談で私のふりをして、「えーよ。気にするな」という返信をしました。すぐに次男のいたずらだと気付いた長男が、「お前じゃねーよ。当たり前に感謝しろ」というメッセージを返しました。私はそのLINEのやり取りを見させてもらいまして、「いつもありがとう」という言葉。「当たり前に感謝しろ」という言葉。一緒にいる時は、なかなか聞かなかった言葉でしたので、非常にびっくりしました。そして、うれしかったんです。ありがたい言葉だなあと思いました。
 長男が小さかった頃のことをよく思い出します。生後半年の時に、アレルギー性の小児喘息しょうにぜんそくにかかりました。小学校3年生、8才ぐらいまでですね。寒い時期は風邪をこじらせて、いつも息ができなくなって、入院しました。何度も何度も命の危ないところを助けていただきました。そして大きくならせていただきました。
 そうやって、何回も入院をしてたんで、幼稚園とか学校を休みがちになりまして、なかなか友達ができない時期もありました。そして、少し不登校気味になりました。不登校気味になった時に、当時の幼稚園の先生に、「発達障害の疑いがあるんじゃないか」と、そんなことを言われました。「検査に行ったほうがいいよ」ということで、遠い所にある病院で、何度も、長時間、検査をしてもらったこともありました。
 そして同時に、周りの保護者の人たちから厳しい言葉というか、「あんたとこの子どもおかしいんじゃないか」とか、きつい言葉を言われまして、悔しい思いをしたこともありました。妻はよく泣いておりました。
 周りの子どもと比べられてしまう。そして、いつの間にか、私たちもその渦に巻き込まれて、子どもを他の子と比べて見てしまう。「将来大丈夫やろうか」と思って、先の見えない不安にさいなまれてしまう。毎日元気に過ごせていても、できてないことばっかりに目が行きがち、ということがありました。
 そんな時ですね、四代金光様のお言葉集『すべてに礼をいう心』という本があります。これは、私が子どもを授かった時に出合いました、私の信心の教科書とさせてもらってる本です。私はよく、その本を読ませてもらって、心を落ち着かせてもらって、心を整えさせてもらうことがあります。その時読んだところで、「比べる」ということを言われている四代金光様のお言葉があります。少し読ませていただきます。
 「力の入れ方。毎日毎日、手元のところへおかげを頂かせてもらいましょう。先のことばかりに気を取られて、今日一日の手元のところを忘れないように。先になれば、その日が、実は、今日の日なのですからなあ。今日一日のおかげを受けさせてもらい、今日一日をしのがせて(過ごさせて)もらうように努力していくことですなあ。
 子どもでも、あの子この子と比べるとよう分かるような気がする。すると、白と黒のように、あの子はできるが、この子はできぬと、良いと悪いということになって、比べることによって、難儀なことが起こりやすい。比べることで、難義をすることが多い。
 比べることによってはっきりとさせて、難儀なことになるよりも、おかげを頂くことに力を入れるのが良いでしょう。よく見ることは大切ですが、それで比べることをして難儀になるよりは、自分がおかげを受けるほうにいたしましょう」
 こういう文章でした。
 私はこの文章を読んでから、極力、「比べてみる」ということをやめようと心がけました。そして困ったことがあっても一つ一つ神様にお願いしながら、その都度、おかげを頂いてきました。それでもいろんな心がざわつくこともあるんですけど、おかげを頂くことに力を入れさせていただく。そして、子どもと一緒にですね、おかげを頂き、今日までここまで元気に過ごさせていただきました。これからもそのことを忘れずに、いろんなところで、神様や皆さまのお世話になると思うんですけど、親子共々に世の中のお役に立つ人間にお育ていただくことを願っております。

(ナレ)いかがでしたか? 不安の渦に巻き込まれてしまった時、心のよりどころとなる教科書が、野谷さんにとっては、金光教の教えでした。教科書を読むことで、今まで難儀に向いていた心が、自分を整えるほうへと向きを変えたのです。そして他の子と比べるのをやめて、一つ一つ神様にお願いしながら、一つ一つ乗り越え、親子で成長していけました。
 皆さんは、心のよりどころとなるような教科書を持っていますか?

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