シリーズ「あなたへの手紙」第2回「①子どもが言うことを聞かない /②忙しいと余裕がなくなる」


●あなたへの手紙
第2回「①子どもが言うことを聞かない /②忙しいと余裕がなくなる」

金光教放送センター


 おはようございます。
 静岡県・金光教静岡しずおか教会の岩﨑弥生いわさきやよいです。
 まずは、愛知県にお住まいの30代のお母さんからのお悩みです。

 「私には、小学校の高学年の息子がいます。毎日元気に学校に通っているのはありがたいのですが、学校から帰って来ると、ランドセルを放り出し、遊びに行ってしまいます。遊びから帰っても、宿題をなかなかやりませんし、服は脱ぎっぱなし、部屋の片付けもせず、散らかり放題です。何度も注意しているのですが、一向に言うことを聞いてくれません。どうしたら言うことを聞いてくれるのでしょうか」
 
 このようなお悩みです。

 元気一杯のお子さんの様子が、目に浮かぶようです。でも、小学校の高学年ということで、お母さんも心配されているのでしょう。
 私の子育ての時の話になりますが、息子の担任の先生に、「お母さん、子どもは何でも100回やったら大概できるようになりますね。逆上がりも、自転車に乗るのも100回は、付き合ってあげてくださいね」と言われました。それは、きっちり100回ということではなく、諦めずに、100回を数えるほど付き合ってほしいということなのです。つい、「もう何度も言ってるのに、どうせ言っても聞かない」と思ってしまいますが、注意したらすぐに言うことを聞かなくても、100回言うのが親の役目と思って、言い続ける。きっと分かってくれると祈りを込めながら、言って聞かせる。そこが大切なことではないかと思うんです。
 また、私の尊敬する金光教の先生が、「子どもが障子を破いて困ります」と言う人に、「それで、あなたはその障子をどうしていますか」と聞かれ、「どうせ破くからそのままにしています」と答えると、「それでは、障子を破くのをやめないでしょう。破いたら貼る、破いたら貼る、を繰り返しているうちに、子どもは、障子は破いてはいけないんだな、ということに気がつきます」とお話しくださったそうです。やはり、祈りながらの根比べですね。
 きっとお子さんは、片付けにしても、宿題にしても、もっと他に興味のあることがあるんですね。でも、使った物を元にあった場所に戻すことも、コツコツ勉強することも、生きる力をつける大切な中身です。だとしたら、まずはお母さんが、やってみせてはどうでしょうか。それぞれの物の居場所を決め、家族皆で、使ったら元の位置に戻す。それぞれが、何かを勉強する時間を持つ。忙しい毎日でそんなことをしている間はないとおっしゃるかも知れませんが、子どもは、ご飯だけを食べて大きくなっているのではないと思うのです。その家庭の空気を吸って大きくなっているんです。だからこそ、この空気が何より大切な中身になるのではないでしょうか。

 次は、40代男性からのお悩みです。

 「仕事が立て込み、忙しくなると、どうしても余裕がなくなってしまいます。落ち着いて、でんと構えているにはどうすれば良いでしょうか?」
 
 というご質問です。

 私も、忙しくなってくると、あれをやったら次はこれ、そんなふうに前のめりになって、気持ちに余裕がなくなってしまいます。それに加え、私の場合だと、仕事をしながら家事が気になり、家事をしながら子どものことが気になる。いつもよそ見ばかりしている状態になって物事が雑になっていました。結果、急いでいるのに何かを忘れたり、慌てていて何かを壊したり、二度手間になることがよくあり、でんと構えるのには、ほど遠く、無駄に動き回っていたように思います。
 それとは反対に、嫁ぎ先の母は、どんな時にも慌てず、でんと構えている人でした。息子、つまり私の夫となった人が、小学生の時、ボールを追いかけ、道路に飛び出し、トラックに跳ねられたことがありました。その状況の中でも、今何をすべきかを適切に考え、行動し、慌てなかった母の逸話が、今でも語り継がれています。母は、いつも自分が教えていただいていた先生からの教えを守り、喜怒哀楽の感情を土台にせず、できたことへのお礼を土台にした生き方になるよう、神様に願いながら、常に稽古していました。気分で左右されず、今、自分が大事にしなければならないことは何か、自分の役目は何かを問いながら御用に取り組んでいるその姿が、今でも私の手本になっています。
 まずは一呼吸おいて、手元をよく見て。一つひとつを丁寧に、今何が大事か、お礼が抜けていないか、確かめるように。
 教えられている時には、窮屈で面倒くさいように思うことが何度もありましたが、母から教わったことは、今となっては私の宝だと思っています。
 すぐにでんと構えられる人になるのは、難しいかも知れませんが、何か参考になりましたら、試してみてください。

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