●天地は語る
第1回「心配を神様に預ける」
金光教放送センター
(ナ レ) 金光教の教祖である、金光大神の教えに次のようなものがあります。
「人間であるから、生きている間は先々のことを考えもしようし、心配の尽きる時はあるまいが、それがみなおかげになれば、心配はあるまい。心配は、信心すればみなおかげになる。心配は体に毒、神に無礼である。心配する心を神に預けて、信心する心になれよ。おかげになる」
今日は、この教えについて先生にお話を伺います。
(聞き手) 先生、こんにちは。
(先 生) こんにちは。
(聞き手) 今日は、この教えについてお話を聞かせて下さい。
(先 生) はい、分かりました。これは、心配事についての教えですね。私たちって、ついつい先のことを考えて不安になったり、心配が膨らんだりして、夜も眠れないとか、食事ものどを通らないことがありますよね。
(聞き手) ええ、そうですね。私も、ちょっとしたことで心配になり、なかなか寝付けないことがよくあります。
(先 生) でも、そんな日が続くと体を壊しますよね。私たちの体は、神様が整えて下さった食べ物や水や空気といった、天地のお恵みを頂いて作られています。ですから、この体は、神様からの賜り物なんですね。その体を心配や不安で壊してしまうことは、神様からせっかく頂いたものを台無しにしてしまうことですから、教祖様は、「心配は体に毒、神に無礼である」とおっしゃるんです。でも、体に悪いといくら分かっていても、心配や不安になる心を自分の力ではどうすることも出来ません。心配しない方がいいに決まっていますが、だからと言って、心配をしない生き方がすぐに出来るものでもありませんしね。
(聞き手) そうなんです。心配事って、次々出来てきて、私の心を苦しめるんです。
(先 生) だから教祖様は、「心配する心を神に預けて、信心する心になれよ」とおっしゃるんです。
(聞き手) 実は私、今、息子が通っている小学校のPTAの役員をぜひやって欲しいって頼まれているんです。でも、人前で話をするのが、私、大の苦手で…。それで、やっぱりこれは、お断りをしようと思っていたんですが、周りのお母さんたちが、「大丈夫、大丈夫」とか言って、はっきり断れないままになっているんです。
(先 生) そうなんですか。それで、役員を引き受けることに…?
(聞き手) ええ…。なんだか、無理矢理、やらされていると思うと、少し腹立たしい思いもしますし、それに、皆さんの前で、きちんと話が出来て、うまくやっていけるだろうかと思うと、心配で今でも心が苦しくなってくるんです。
(先 生) それはつらいですね…。だから、そういう時にこそ、この教えのように、「心配する心を神様に預けて、信心する心」になればいいんですよ。
(聞き手) ええ、そうだと思うんですが、どうすれば、心配する心を神様に預けることが出来るんですか?
(先 生) そうですね。それには、まず、神様の願いやお心を分からせてもらうことだと思いますね。
(聞き手) 神様のお心ですか…。
(先 生) ええ、そうです。神様は、私たち人間を、我が子のように慈しみの心で、温かく見守って下さっているんです。それは、あなたが、息子さんのことを大切に思い、元気に大きく育って欲しいと願っておられる思いと、同じ思いなんです。ちょっと考えてみて下さい。
(聞き手) はい。
(先 生) あなたが息子さんを大切に思う親心の中には、少しぐらいつらいことや苦しいことがあっても、それに負けずに乗り越えていける、強い心を身につけて欲しいという願いがありませんか?
(聞き手) はい。
(先 生) スポーツでも、毎日、ランニングをしたり、筋力トレーニングをしたりするでしょう。
(聞き手) ええ。
(先 生) 息子さんが、厳しい練習をしていた時に、「そんなつらくて苦しい練習は、しなくてもいいわよ」なんて、言わないでしょう?
(聞き手) ええ、そうですよね。強くなるには、厳しい練習も必要ですからね。
(先 生) そうです。それと同じ思いで、神様は、あなたの成長も願って下さっているんです。PTAの役員も、その一つなんですよ。役員をすることで、少しでも、人前で話す練習をして欲しい、自信を持てるように育って欲しい、と願って下さっているんだと思うんです。また、その役目を通して、世の中のお役に立って欲しいとも願って下さっていると思います。そうした神様の願いや思いに心を寄せることで、心配の種になっている、PTAの役員に向かうあなたの心も少し変わるかもしれませんよ。
(聞き手) そうですね。先生がおっしゃるように、私に育って欲しい、役に立って欲しいと神様から願われていると思うと、何だか元気が出てきますね。
(先 生) それが結果的に、心配を神様に預けることになっていくんですよ。神様にお願いするのでも、失敗しませんようにと、心配事を抱えてお願いするのではなく、どうぞ、このことを通してお育て下さい。そして、お役に立たせて下さいとお願いをしていく願い方もあると思うんですね。すると、もっと元気な心でそのことに当たっていけるのではないでしょうか。
(聞き手) はい。よく分かりました。これから心掛けてみます。先生、今日は、ありがとうございました。
(先 生) はい、ありがとうございました。
(ナ レ) 「人間であるから、生きている間は先々のことを考えもしようし、心配の尽きる時はあるまいが、それがみなおかげになれば、心配はあるまい。心配は、信心すればみなおかげになる。心配は体に毒、神に無礼である。心配する心を神に預けて、信心する心になれよ。おかげになる。」
今日は、この教えについて、先生にお話を伺いました。