●信心ライブ
「雨雨降れ降れ」
金光教放送センター
(ナレ)金光教の集会で行われた発表や講話などを録音で紹介する「信心ライブ」。
今日は、兵庫県の大林誠さんが、平成16年11月に、金光教のある教会でお話しされたものをお聞きいただきます。
(大林)最近の多くの小学校では、1つの傘を2人で使う、いわゆる相合い傘ですね。別に男女と限らずに、とにかく2人で使うようなことを禁止しているところがたくさんあるそうです。
傘というのは、しょせん1人用に作られていますからね、2人入ったら2人とも濡れてしまいます。ちゃんと我が子は傘を持っていったにもかかわらず、なぜかぬれて帰ってきた。悪いのは忘れた子の方なのに、なんでその子のせいでうちの子がぬれなければいけないのよ、というふうに親は考えたのでしょうね。そういう声にまあ押されて、学校の方も、相合い傘禁止ということにしてしまった。
教祖様は、「難儀な人を見てかわいそうに思う心が神心だ」「その神心を行動に現して、人を助けるのが人間だ」というようなことを、さまざまなみ教えを通して教えて下さっておりますけれども、それとはまったく対照的になっておるのが今の世の中の現状なんです。
昔はね、傘が無くて困っていたら助けてあげるというのが、良い子のすることだ、と考えられていました。このことは、童謡の歌詞を見てもよく分かります。
皆さんご存じの『雨ふり』という歌がありますよね。あの歌の中で、とってもそれがよく分かるのです。
ちょっと歌ってみましょうか。みんな、一緒に歌って下さい。せーの、
あめあめふれふれかあさんが
じゃのめでおむかえうれしいな
ピッチピッチチャップチャップ
ランランラン
ご協力ありがとうございます。
普通、雨というのは、あまり喜ばれませんね。ところが、この子は、雨が降ることを喜んでいますね。何でか? 大好きなお母さんが来てくれる。そのことを信じているから。だから雨さえもうれしいものになってしまうんですね。
あらあらあのこはずぶぬれだ
やなぎのねかたでないている
ピッチピッチチャップチャップ
ランランラン
はい。大好きなお母さんと並んで歩いておりますと、それだけでもね、とても幸せなんですけれども、自分さえよければいいと、この子は考えておりません。向こうの方に泣いている友達を目ざとく見つけます。何とかしてあげたいなという気持ちが湧いてくるんですね。そこでこの子はどういうふうにしたのでしょうか。
かあさんぼくのをかしましょか
きみきみこのかささしたまえ
ピッチピッチチャップチャップ
ランランラン
まず、僕のを貸してあげてもいいですか? と、お母さんに聞いてみたんですね。するとこのお母さんは、「傘を忘れてきたのがいけないんでしょう。余計なことしなくていいの」なんていうふうには言いません。それは、今時のお母さんです。
「いいことに気が付いたわね。優しいいい子ね。ぜひそうしてあげなさい」。そう言って褒めて励ましてくれました。このお母さんの温かい応援を受けて、この子は勇気をもってね、「きみきみこのかささしたまえ」と自分の傘を差し出すことになるわけです。
ぼくならいいんだかあさんの
おおきなじゃのめにはいってく
ピッチピッチチャップチャップ
ランランラン
貸してもらう方もですね、なかなか立派だなあと思うのです。というのは、「そんなことしたら、君がぬれちゃうじゃないか」。きっとね、心配して遠慮したんじゃないかと思うんです。そしたらね、それに対して、「僕はお母さんの傘に入れてもらうから大丈夫だよ。だから遠慮なく使って」と言って自分の傘を渡したわけですね。
こうして、先ほどから、お母さんと並んで歩いていたわけですけれども、こんどは一層ピタッと寄り添って、お互いの体温を感じながら幸せいっぱいで一つの蛇の目の傘で歩いていきます。
大きな蛇の目といいましても、きっと、ね、やはり2人で使いますと、子どもの肩も少々ぬれるでしょう。親の肩も、ちょっとはぬれるかもしれませんが、しかし、そんなことはちっとももう苦にはならない。親子でくっついて歩く幸せとか、あるいは、人に喜んでもらえて良かったなあという満足感で、スキップを踏みながら歩いていくわけですね。
(ナレ)いかがでしたか? 童謡には、子どもたちはもちろん、大人にとっても大切なメッセージが込められているのですね。
さて、大林さんがこの歌から伝えようとしている大切なことは何でしょうか。
それは、困っている人を見て、何とかしてあげたいと思う優しい心です。そういう心になれれば、相手も自分も幸せになれます。そして、この親子のように、困った雨降りでも、うれしい出来事に変わっていくのです。
晴れの日もあれば雨の日もあるのが人生。誰もが時には困ったことに出合いますが、そんな時こそ、優しい心をお互いに出し合っていきましょう。きっと、ピッチピッチチャップチャップランランランと喜べる生き方が出来ますよ。